2025年5月「J-PARC出張講座(授業)」を実施しました。
◆◇◆~2025年5月1日(木)、津山工業高等専門学校~ ◆◇◆
津山工業高等専門学校で本科3・4年生を対象に、「ミクロの世界を見る加速器の仕組み ~素粒子現象から巨大構造物まで透視するミューオン加速技術~」と題する講演を加速器ディビジョンの大谷 将士氏が行いました。
講演では、加速器の原理と、産業・医療といった広い分野への応用利用について紹介しました。
次に、古代ピラミッドの秘密の空間の発見や、火山内部の透視に利用されている素粒子ミューオンについて取り上げ、J-PARCで人工的に大量生成したミューオンを用いた研究や、最新の技術開発・研究展開について紹介しました。
また、講演終盤には、高専生による小型加速器製作~AxeLatoon(アクセラトゥーン:加速器を意味するAcceleratorと新芽を意味するRatoonに由来する造語)~を主体とした社会連携事業の取り組みに事例について紹介しました。
受講前後には質疑の時間を設け、講義で紹介した重イオン照射によるがん治療に加え、他の医療応用に関する質問や、KEK・J-PARCでの研究生活についての質問も寄せられました。
これらの質疑応答を通じて、加速器に関する分野でのキャリアパスや将来の進路を意識する学生も多く見られ、講義内容が進路選択への動機付けにもつながっている様子がうかがえました。
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◆◇◆~2025年5月7日(水)、私立 晃華学園中学高等学校~ ◆◇◆
J-PARCで行われている宇宙や生命に関する最先端の研究や、女性研究者としてのキャリアについて、J-PARCセンター長 小林 隆 氏と共通技術開発セクションの柴崎(舟生) 千枝 氏による出張講演が行われました。講演には中学1年生から高校3年生までの約900名が参加し、講義後には生徒たちから多くの質問や感想が寄せられました。
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◆◇◆~2025年5月13日(火)、日立市諏訪小学校~ ◆◇◆
日立市立諏訪小学校の5、6年生80名を対象に、「見えない真空を見てみよう」というテーマで出張授業を行いました。日立シビックセンターが企画する科学教室として開催されたもので、講師をJ-PARCセンター 加速器ディビジョンの諸橋 裕子氏が務めました。
風船やお湯、マシュマロなど身の回りにあるものを使っての真空実験は、目の前で変化が起こる度に歓声が上がりました。
参加された児童や先生から、真空砲の迫力に驚いた、水がコップの中に吸い込まれていったのが不思議で面白かった、教科書でしか見たことの無かった現象を実際に見ることができてとてもいい経験になった。といった感想を聞くことができました。
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◆◇◆~2025年5月17日(土)、放送大学 ライブラリー講演会~ ◆◇◆
放送大学 茨城学習センターでは、「ライブラリー講演会」と称して、茨城県立図書館で年間9回の講演会が行われています。今年度は第1回として、小林 隆センター長が「茨城が誇る世界最強加速器J-PARCでさぐる宇宙と物質の起源」と題し、J-PARCの研究内容をわかりやすく講演しました。参加者は50名を超え、メモを取りながら熱心に聴講しました。講義後には、聴講者から、「どうしてニュートリノと反ニュートリノを区別できるのか?」「宇宙からのニュートリノと、J-PARCから発射したニュートリノを神岡ではどう区別するのか?」などの質問があり、小林センター長は大きなスクリーンに映し出された資料を指しながら、「反ニュートリノは、スピンの向きが逆である」「J-PARCからのニュートリノは発射時刻を正確に測定しているので、神岡の到着時刻も把握できる」と回答をしました。
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J-PARCでは、大強度陽子加速器、素粒子・原子核物理学、物質・生命科学研究等のトピックスについて、文・理系問わずご希望に応じ、講師を派遣しています。また、オンラインでの講義 (授業) や実験教室なども受け付けています。お気軽にご相談ください。
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