J-PARC|物質・生命科学実験施設

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J-PARCセンター
〒319-1195
茨城県那珂郡東海村白方白根2番地4
HPの情報に関するお問い合わせ先:
<web-staff@j-parc.jp>
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核変換実験施設とは

原子力発電所の使用済核燃料には、 燃え残ったウランや新たな燃料となるプルトニウムの他に、 核分裂反応により生成した放射性物質が含まれています。 これらの放射性物質のうち、一般にマイナーアクチノイドと呼ばれる元素には、 人体に対する有害度や環境負荷が比較的大きい物質があります。 これらの物質を選択的に分離し、その物質の特性に応じた処理・処分方法を採用できれば、 使用済核燃料からの環境負荷を大きく低減することができる可能性があります。 このような元素を分離する技術や、高速炉や加速器を用いた新しい原子力システム(加速器駆動システムなど)を用いて マイナーアクチノイドなどを核反応により異なる元素に変換する技術を「分離変換技術」と呼んでいます。 分離変換技術は、将来有望な廃棄物処分の技術オプションとして、 日本をはじめ世界のさまざまな国で基礎的な研究開発や導入戦略などが議論されている、最先端の技術です。

J-PARCでは、計画当初より加速器駆動システム(ADS:Accelerator-driven System)による 核変換技術に関する基礎的な研究を行う、 核変換実験施設(TEF : Transmutation Experimental Facility)の検討を進めてきました。 TEFは、ADS独自の構成要素である核破砕ターゲットや陽子ビームの導入部(ビーム窓など) に関するシステム技術の確立を目指す 「ADSターゲット試験施設(TEF-T)」及び、 エネルギー発生やそれに伴う放射性物質の生成量を極力抑制し、 実験者が容易に実験可能な小型の原子炉(臨界集合体)を用いて核変換技術の成立性に係る 物理的特性やADSの運転・制御に関する研究・開発を行う「核変換物理実験施設(TEF-P)」の二つの施設で構成されます。

TEFを構成する2施設は、段階的に整備していくことを考えています。 前期にはJ-PARC LINACからの陽子ビーム輸送ラインとともにTEF-Tを建設し、TEF-Tの運転と並行してTEF-Pの建設を進めていく計画です。

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核変換実験施設概念図

TEF-Tの主な研究開発課題
研究開発の目的 研究・開発課題
陽子・中性子によるビーム窓および構造材料の照射損傷
ビーム窓の健全性および寿命の評価
陽子・中性子の複合照射効果
高速中性子照射のデータベースの構築
静的応力下での照射効果
強放射線環境において流動する液体金属と材料の共存性
放射線による腐食の促進効果の検証
共存性に対する液体金属の温度、流速、溶存酸素濃度依存性
核破砕反応生成物の効果
液体金属核破砕ターゲットシステムの制御・運転特性
ポンプ、熱交換器、流量計、溶存酸素濃度計などのホット環境試験
ビームトリップの再起動に伴うシステムの過渡応答特性
核破砕生成物およびポロニウムの純化・閉じ込め技術
遠隔保守技術の開発


TEF-Pの主な研究開発課題
研究開発の目的 研究・開発課題
核破砕中性子源で駆動される高速未臨界体系の核特性評価 未臨界体系における出力分布
未臨界度の決定
未臨界度の決定は安全性および加速器出力の設定に影響
中性子源の実効強度
高エネルギー中性子の影響
ターゲット、ビーム窓、ボイドの存在
これまでの高速炉には無かった構造
実効増倍率、出力分布、中性子漏洩等に影響
鉛-ビスマス冷却材の模擬
ナトリウムに代わる冷却材
中性子スペクトル、冷却材ボイド反応度に影響
加速器駆動ハイブリッドシステムの運転・制御性検証
ビーム出力調整によるフィードバック制御
原子炉では出力を数桁にわたり安定に制御できる
ビーム出力調整で所定の炉出力に制御できるか?
ビームトリップ時および立ち上げ時の挙動
原子炉では緊急停止はほとんどない
頻繁に起こるビームトリップに対処できるか?
温度係数の測定(炉心、ターゲット)
出力振動、炉心のデカップリング
エネルギー増倍率の決定
マイナーアクチナイドおよび長半減期核分裂生成物の核変換特性評価 マイナーアクチナイドの核変換率測定
マイナーアクチナイド、長半減期核分裂生成物のサンプル反応度価値測定
長半減期核分裂生成物用減速領域付き体系の核特性
マイナーアクチナイド窒化物燃料炉心の模擬


核変換技術、ADSとは?



ADSターゲット施設(TEF-T)

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TEF-T拡大図

ADSは、大強度加速器と未臨界状態(単独では核分裂連鎖反応が持続しない状態)の原子炉を組み合わせた新しい原子力システムです。 未臨界炉の中央部には、加速器からの陽子を導入するための核破砕ターゲットや、 導入部で原子炉と加速器の境界を形成する陽子ビーム窓など、ADS独自の設備が配置されます。 ビーム窓は、加速器側が真空であるための圧力差、 原子炉側が液体鉛ビスマスに接しており材料の腐食の恐れがある上、 陽子ビームの通過に伴う熱応力や構造材料の劣化が生じるなど、 非常に過酷な環境で用いられることになります。 この陽子ビーム窓の工学的成立性の検証および陽子ビームによる材料損傷の影響などを 実験的に検討していく施設として、 TEF-Tを検討しています。 TEF-Tでは、核破砕ターゲットの内部に様々な構造材料のサンプルを設置し、 陽子ビーム窓の運転状況を可能な限り再現してビーム窓の工学的特性を検証する試験を行う予定です。 TEF-Tとともに建設予定のTEF専用のビームライン(ADS-BT)には、 TEF-Pのために微小出力の陽子ビームを分岐するための設備を設置予定です。 また、陽子ビームと核破砕ターゲットからの漏洩中性子を さまざまな用途の照射に活用するための設備をTEF-Tに併設することも検討しています。



TEF-T核破砕ターゲットの主要諸元
陽子ビーム強度 400MeV-250kW
ビーム構造 パルス(繰り返し:25Hz、パルス幅:500μs)
ビーム形状 ガウス分布(最大電流密度30μA/cm2)
ターゲット 液体鉛ビスマス合金(循環時最高温度450℃)
ターゲット容器 ステンレス鋼(低温運転用)・高クロム鋼(高温運転用)


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核破砕ターゲット実サイズモデル


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ターゲット内照射サンプルの照射量と照射温度


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ターゲット周辺の中性子場


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ターゲットから放出される中性子の放出角度別エネルギースペクトル


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TEF-T多目的利用の検討例




TEF-Tの詳細

核変換物理実験施設(TEF-P)

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TEF-P拡大図

TEF-Pは、実験用の小出力の原子炉である臨界実験装置に陽子ビームを導入し、 核破砕中性子源で未臨界状態の原子炉を駆動した際の様々な特性を実験的に検証するための施設です。 この施設では、ADSの成立性に関わる未臨界炉の物理現象や運転制御に関する研究・開発を実施予定です。 また、TEF-Pでは、ADSだけでなく、 既存のナトリウム冷却高速炉をはじめマイナーアクチノイド含有燃料を採用する将来の高速炉など、 多様な原子力システムの概念に対応する実験を行うための燃料や冷却材・構造材模擬体を利用することが可能です。 また、マイナーアクチノイドを含有する燃料を用いて、 核変換システムの核変換特性などを検証していくことも検討しています。



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TEF-Pの詳細



新着情報

  • ワークショップ「J-PARC核変換実験施設の多目的利用」を2013年3月18日に東京にて開催します(2013/2/18)

  • ADS国際シンポジウムの写真を公開しました(2012/3/8)

  • ADS国際シンポジウムのレジストレーションを開始しました(2012/1/23)

  • ADS国際シンポジウムを2012年2月29日に東京にて開催します(2011/12/13)

  • 雑誌Newton 2011年10月号に"「高レベル放射性廃棄物」の有害性は,減らせるか"として、核変換技術およびADSが紹介されています(2011/8/26)

参考資料

  • 分離核変換技術 用語解説
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