■ J-PARC News 第155号より       (2018/03) 
●J-PARCハドロン実験施設へのビームパワーが50kWを超える (1月31日、J-PARC) 
  ハドロン実験施設は、2009年1月にMR加速器から30GeVのビームを初めて取り出しました。震災による実験停止、また、事故とその再発防止に関わる施設改修を経て2015年4月に24kWで運転を再開し、徐々にビーム強度を上げて1月31日に50kWを越える運転を達成しました。この施設では、金標的に陽子ビームを衝突させ、K中間子やπ中間子などを生成し、これら二次粒子のビームを利用して多種多様な実験を行います。原子核の中で働く"強い力"の性質や、強い力で質量が生まれる仕組み、さらに物質が優勢の宇宙の起源である"CP対称性の破れ"などを探求しています。100kWを超える世界最高強度の陽子ビームで素粒子原子核実験を行うことを目標としており、ビームパワーが高くなることで、二次粒子の数が増え、実験の統計量を増やすことが出来ます。
  詳細は、KEKのホームページをご覧ください。
  https://www2.kek.jp/ipns/ja/post/2018/02/hadron50kw/
  
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●先端鉄鋼のTRIP鋼の特性を中性子回折で解析 〜 自動車用鋼板の開発に新たな知見 〜  (2月26日、プレス発表) 
  J-PARCセンター中性子利用セクションのステファヌス・ハルヨ氏 (JAEA) 、土田紀之氏 (兵庫県立大学) らの研究グループは、自動車のボディーなどの構造部材に多く用いられているTRIP (Transformation Induced Plasticity) 鋼の引っ張り力が加わった場合の組織構造の変化の様子を、物質・生命科学実験施設 (MLF) の中性子ビームライン (BL19) 「高性能工学材料回折装置:匠」を用いて観察・解析しました。その結果、これまで難しかったTRIP鋼の外力による結晶構造の相変態が鋼強度を高めていることの定量的な解析に世界で初めて成功しました。本成果は、2017年11月9日の英科学誌「Scientific Reports」に掲載されました。
  詳細は、J-PARCホームページをご覧ください。
  http://j-parc.jp/ja/topics/2018/Press180226.html

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●エネルギー変換デバイスの高性能化に新たな道筋 - 層状結晶化合物の乱れた構造がもたらす機能発現のメカニズムを原子レベルで解明 -  (3月15日、プレス発表) 
  J-PARCセンター中性子利用セクションのリ・ビン氏 (JAEA) と川北至信 (JAEA) MLF不規則系物質研究サイエンスグループリーダーらは、層状結晶化合物であるAgCrSe2の高い熱電性能の起源が、銀の単元素層の液体のような振る舞いが熱伝導を抑制するメカニズムであることを、MLFの冷中性子ディスクチョッパー分光器 (BL14) を含むパルス中性子ビーム実験、SPring-8での放射光実験、コンピューターシミュレーション、材料情報科学に基づく理論計算の成果を組み合わせて、解明しました。熱電材料の高機能化に新たな道筋をつけるものです。本成果は、JAEA、J-PARCセンター、高輝度光科学研究センター (JASRI) 、総合科学研究機構 (CROSS) 、米国、ドイツ、中国との国際共同研究の研究として、2018年1月16日付の英国科学誌『Nature Materials』に掲載されました。
  詳細は、J-PARCホームページをご覧ください。
  http://j-parc.jp/ja/topics/2018/press180315.html

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●J-PARC国際アドバイザリー委員会 (IAC) など開催 (2月19日〜3月6日、J-PARC) 
  
  国内外の専門家にJ-PARCの加速器や実験施設、研究内容、将来計画などについて審議頂き、提言を受ける核変換実験施設 (T-TAC) 、ミュオン実験施設 (MAC) 、中性子実験施設 (NAC) 、加速器施設 (A-TAC) の4つのアドバイザリー委員会を2月19日から3月3日にかけて開催しました。続く5-6日にはIACでJ-PARC全体について話し合われました。各委員会では、齊藤直人J-PARCセンター長による、施設全体の現状や将来計画、その後、各実験施設のリーダーらによる詳細な説明と前回委員会から受けた提言への対応報告に対して審議が行われ、本年度の報告がまとめられました。IACでは委員全員参加があり、J-PARCへの今後の成果増進への貴重な提言を頂きました。

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●九州大学J-PARC分室を設置 (3月2日、J-PARC) 
  3月2日、高エネルギー加速器研究機構 (KEK) と九州大学の「連携協力に関する覚書」調印式が、齊藤直人J-PARCセンター長らも同席してJ-PARC研究棟で行われました。平成28年3月の大阪大学、平成29年2月の京都大学に続き、この覚書により、KEK東海1号館に九州大学J-PARC分室が設置され、J-PARCで共同研究を行う九州大学の研究者や学生に開放されます。J-PARCを利用する国内各大学の分室設置により、ますます緊密な大学との研究協力関係が進むことが期待されます。

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●2017年度量子ビームサイエンスフェスタ/第9回MLFシンポジウム/第35回PFシンポジウム開催 (3月2-4日、茨城県立県民文化センター) 
  3月2日から4日にかけて、2017年度量子ビームサイエンスフェスタがJ-PARCセンター、KEK物質構造科学研究所、総合科学研究機構 (CROSS) などの主催で水戸市にて開催されました。会期中はJ-PARC MLFとPF (Photon Factory) のユーザーが一堂に会し、放射光、中性子やミュオンといった量子ビームを活用した研究成果について、プローブの垣根を越えて活発な議論が交わされました。初日には第9回MLFシンポジウムが開催され、MLFにおける新規技術開発や、コミッショニング中のビームラインの現状について報告がなされました。また初の試みとしてMLFの見学会が開催され、主に放射光を使っている40名ほどの参加者が、普段は実験者しか入れないビームラインの中まで足を踏み入れ、装置担当者から説明を受けました。2日目には基調講演およびパラレルセッションが、また3日目には日本中性子科学会・日本中間子科学会主催によるMLF将来計画検討会が開催され、全体で524名と多くの参加者を得て盛会のうちに終了しました。
  詳細は、量子ビームサイエンスフェスタのホームページをご覧ください。
  http://www.j-parc.jp/researcher/MatLife/ja/meetings/qbs-festa/2017/

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●平成29年度第2回住民原子力懇談会 (2月19日、J-PARC) 
  東海村は、原子力安全に関する村や事業所の取組みの紹介とともに、住民の皆さんの意見や要望を伺い「安全・安心なまちづくり」に反映するため、原子力懇談会を実施しています。今回は、亀下区自治会の14名の方が、懇談会事務局 (NPO法人パブリック・アウトリーチ) の担当者らとJ-PARCを訪れ、懇談会を行いました。防災原子力安全課から会開催の趣旨説明があり、石井哲朗J-PARC副センター長がJ-PARCの概要説明を行いました。その後、MLFとニュートリノ実験施設を見学し、参加者からは「とっつきにくいと感じていましたが、見学することで身近なものに思えました」などの感想がありました。

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●第14回J-PARCハローサイエンス「『本当に強い力』の話をしよう。」開催 (2月23日、東海村産業・情報プラザ「アイヴィル」) 
 
  J-PARCセンターが毎月開催しているサイエンスカフェ、2月はハドロンセクション小沢恭一郎氏が講師となり、ハドロン実験施設で行っている研究について話しました。小沢氏はまず、原子核物理学の取り組みを説明し、J-PARCではその中で「クォークからハドロンの形成」、「強い力による質量の獲得」を中心テーマとして研究していることを紹介しました。特に、「強い力」は電気の力と違い、電荷が3種類もあるなど、「強い力」の持つ奇妙な性質について話しました。小沢氏は、途中で出たたくさんの質問に一つ一つ丁寧に答え、参加者との交流が深まりました。年配の参加者からは、「難しい内容ですが、いつも楽しく参加しています」との声が聞かれました。

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●加速器運転計画
  4月の運転計画は、次の通りです。なお、機器の調整状況により変更になる場合があります。

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