2017年3月15日

J-PARCセンター

  

J-PARC元副センター長、西川公一郎氏が2016年B. Pontecorvo Prizeの受賞内定

  

  J-PARCの元副センター長であり、高エネルギー加速器研究機構 (KEK) の元素粒子原子核研究所所長である西川公一郎名誉教授が、2016年B.Pontecorvo Prizeを受賞することが2月24日付で内定しました。西川氏は、ニュートリノ振動の解明を進めるT2K実験の前代表者として受賞するもので、同氏のほかに、中国のDayaBay (ダヤベイ) 実験の代表者であったYifang Wang教授、韓国のRENO (レノ) 実験の代表者であったKimSoo-Bong教授も受賞します。

  Bruno Pontecorvo (ブルーノ・ポンテコルボ) 賞は、ニュートリノ物理学に多くの先駆的業績を残したBruno Pontecorvo博士 (イタリア出身:1913-1993) を追悼するために1995年にJINR (ドゥブナ合同原子核研究所) 及びDzhelepov (ジェレポフ) 研究所によって設立されました。毎年、素粒子物理学の分野の中から卓越した物理学者に与えられる賞で、これまでに日本人としては、戸塚洋二および鈴木厚人元機構長、鈴木洋一郎IPMU副機構長らが受賞しています。

  今回の西川氏らの受賞理由は「ニュートリノ振動現象の解明と、Daya Bay、RENO andT2K実験によるθ13混合角の測定における際立った功績 (For their outstanding contributions to the study of the neutrino oscillation phenomenon and to the measurement of the Theta13 mixing angle in the Daya Bay, RENO and T2K experiments) 」とされています。

  ニュートリノ振動によって3種類のニュートリノが混じりあう比率は、3つの混合角θ12、 θ23、θ13と、CP位相のパラメータという数値で表せます。Daya BayとRENOは電子型反ニュートリノが消失する振動の確率を、 T2K実験はミュー型ニュートリノから電子型ニュートリノへの振動する確率を測定しました。そして、θ13が予想外に大きいという事実、すなわち振動する確率が高いということを示しました。

  現在T2K実験は、アメリカのNOvA実験と並んで、反ニュートリノ振動の測定を進め、ニュートリノにおける粒子と反粒子の違い (CP対称性の破れ) の解明に向けた実験を推進しています。


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